真夜中の冒険

外出仕事の多い8月上〜中旬。

出版社や制作会社がお盆休みのうちに、
フリーのクリエイター同士で、やれることやっちゃいましょう、
集まってゆっくり呑めるのもいまのうち、
という事情なのだと思います。

実家に帰れなかったこともあって、
エアコンをつけずに熱中症で亡くなった方々のニュースを観ると、
親が心配。
60代以上の人は、電気代がもったいないという意識があると同時に、
エアコンの風が不快でもあるんですね。

母に電話をしたら、
「そうなのよねぇ、この前は暑くてなかなか寝付けなくて」
「だからエアコンつけてってば」
「それが朝起きてから、寝室にエアコンがあることに気がついて」
「待ってよ、どれだけ使ってないのよ」

多少暑くても、窓を開けて自然の風を取り入れることができれば、
気持ちよいのですけどね。

この前の夜はまた、ドアの前で蝉がバチバチ飛んでいました。
激しい舞いのさなかをかいくぐるのは不可能で、
逆方向の階段に向かって逃げました。
うちのマンションは世帯数が多く、
エレベーター以外に階段が3つあるんです。

ところがその階段、考えてみれば、
10年以上住んで、初めて使ったんですね。
外からはいつも眺めていたのに、
実際に下りながら見る景色は、なにか段差の違う世界のよう。

階段の下の植え込みも、建物の裏側に通じる小路も、
あることは知っていたのに初めて立つと、
そこから見える私の部屋のドアまでが、
異空間に佇んでいるみたいです。
長年住んでいる慣れ親しんだ場所が、こんな貌も持っていたなんて。

蝉のおかげで思いがけず体験した、
ほんの10分程度の真夜中の冒険でした。

帰宅したらやっぱりバチバチと、
蝉の飛び交う現実が待ち受けていました。
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