大切にし合いたい

東京小金井市で起きた、アイドルが刺傷されるという痛ましい事件。
アイドルやタレント活動をしている人だけでなく、
客商売、人気商売をしている人には、
少なからず身につまされる事件だと思う。
ファンの心も傷つける。

この犯人みたいな人は、どうしたっている。
私も音楽をやっていたとき、恐怖を覚えることは何度かあった。
いちばん最初の恐怖は、客席でオナニーしだす男性がいたことだった。
笑う人もいるかもしれないけれど、
その異様さに、生理的危機感でパニックに陥りそうになったし、
周りのお客さんになにかあったらと、守る方法を必死に考えた。
知り合いの女性詩人には、自宅をつきとめられて、
動物の死体を送り続けられた人もいる。

相手に暴力性を突きつけられると、心はどうしても弱くなる。
それでも私たちは、生身を晒してステージに立つしかなかった。

被害者の女性は、ずっとずっと怖かっただろうと思う。
同時に、警察に相談しながらも、
相手のことを信じたい、と、祈るように思っていたかもしれない。
表現者は、相手が自分を表現者として好きでいてくれる限りは、
自分のほうがファンより強く、
ときにファンを傷つけてしまう存在であることも、よくわかっている。

周囲の人間が、突然現れた通り魔に
どう対処することもできないように、
今回のようなときにも、なにもできないのかもしれないけれど、
私にとってはせめて、自分が強い立場に立ったときに、
そのことに無頓着でいないかなと、
顧みるきっかけをもらう出来事でもあった。

馬鹿みたいなことかもしれないけれど、
ふだん、おばさんがひとりで切り回している飲食店に行ったら、
こちらでお皿を片付けたり、長居しないよう気をつけることくらいは
するように。

自分の身を晒して、一生懸命働いている人たちに対して、
いまどちらが強い立場なのかの自覚を持ち、
大切にし合える空気をつくっていきたいと思った。

ささやかで無力すぎる、どうしたらいいのかな、を持ちながら、
少しでもいい世の中になるように、考え続けて、
せめて自分の信じることを、行動し続けるしかないのだと思う。
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